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連載小説 「壬之御門奇譚(おおいのみかど きたん)」 Act.1 #19

更新日/2023.04.07

「この上弦堂は、建物の形が特殊になっております故迷路の様な形になっておりますので、案内を壁などに表示、そして皆様に配布している端末で部屋から受付までの案内機能をつけさせていただいております。お嬢様のお部屋である花筏はこの廊下をまっすぐ進んだ突き当りのお部屋になります故廊下の方向を間違えなければ迷うことは少ないかと思います」

廊下を足元を提灯で照らしながら前へ前へと進んでいくが明佳の話を聞いてほっと安心して少しばかり緊張がほぐれる

「ありがたいです。実は大の方向音痴と地図音痴でして…」

「お気持ちとってもわかります…私も実は地図音痴でして…受付になって間もなかった頃お嬢様方に呼ばれてもどこがどこだかわからず…大変でしたので。案内機能を作っていただいて本当に助かっていますわ…」

「案内機能心強いんですね…私も使ってみます。ここから学校まで正直簡単でも迷いそうなので」

「案内機能を使うもよし雅さんに頼るもよし、お嬢様が頼りやすく生活しやすい方をお選びくださいね?どちらにせよ頼っていただけると嬉しいものです…と到着は早いものですね…お部屋に到着いたしました。」

立ち止まってその姿の先を見ると桜がCGの様に扉に舞い落ちて水面に落ちて綺麗に流れその上には三日月が浮かんでいる扉が何もない壁に花筏と文字がまるで主の到着の証明かの様に書かれ、自然に扉の鍵がガチャっと鍵音を立てて開いた

「これで私のお部屋案内は終わりです。ここから先はお嬢様がお入りください」

「え、良いんですか?」

「勿論ですわ…この部屋の主は楓花さん貴方ですもの」

 

部屋の主は貴方

 

その言葉で一気に実感して鳥肌が全身を覆う。ここまでの旅路も、ここまでの道のりも朝からの現実離れした数々の経験も何もかもが一気に体の脳内を駆け巡って今に至るのだ。息をこくっと飲んでドキドキしている緊張で額に汗が流れているのも何もかも忘れて、扉の少しひんやりとしたドアノブへとゆっくりと手をかけてクリスマスプレゼントの箱を開ける子供のようにじっくりと時間をかけて開いて、輝いて見るに眩いその世界へと入って世界の入り口を閉める。

→→→ #20へ続く

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