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連載小説 「壬之御門奇譚(おおいのみかど きたん)」 Act.1 #25
更新日/2023.04.28
そう言って手を小さく振ると水晶盤を取り出して溝にはめて、出てきた階段を駆け上ると既に数人の生徒らしき人は既に座っており、ふらふらと教卓の前を行き来していた担任である坂田桜雅と目が合うとにこっと微笑まれる
「おはよう朝霧、今日も無事の到着と登校何よりだよ。道中お疲れ様」
「お、おはようございます。坂田先生」
「もう少し時間がある。ゆっくりしたり自由にしていてくれ」
そう言いながら空中に生徒の名前が表示され中から楓花の名前を押して出席のボタンを押すと丸眼鏡をくいっと上げながら翡翠の目が細まり満足そうに微笑む目前のその人にありがとうございます。と返すと教卓の斜め前の座椅子と綺麗な細工が施された座敷机がある席に座ると蒼穹の髪をした紺色の襟に装飾が施されたブレザーを着ているどこか大人びた青年と目が合って互いにぺこりと会釈をして鞄の中から筆箱やノートを取り出す
「同じクラスか」
「うぇ⁉は、はい」
「物部彷徨。一年間宜しく」
「あ、朝霧楓花です。よ、よろしくお願いします」
不器用に差し伸べられたその手に恐る恐る手を重ねると見知らぬ顔があり悲鳴に近いものが喉から出て肩に緊張が集中して痛くなるが、見知らぬ金髪碧眼のヘッドホンの首にかけた人物は腹を抱えて笑いそれを見た彷徨はもう片方の手で頭部を叩くというギャグの様な展開が繰り広げられる
「い、いい…いきなり誰ですか!貴方!」
「は~笑った笑った君面白いね~けど痛いじゃないか彷徨…いきなり頭ぶっ叩くことないだろう?」
「お前は初対面の者にも距離が近いと何度言えばわかる明時、朝霧こいつは明時幸鳴。私の幼馴染だ」
「初めまして!彷徨の幼馴染で同じクラスの明時幸鳴です。呼び方は自由で!朝霧ちゃんって呼んでも大丈夫?」
けろっと笑いながら顔と距離をずいっと机の手をついて前のめりになり近づけながら聞いてくる彼の制服のフードを後ろから掴んで眉間に皺を寄せてやれやれという表情の浮かべ制止する彷徨に申し訳ないと思いつつ少し後退りながら距離を図る
「呼び方は私も自由で大丈夫ですが、距離近すぎなのと物部さんが大変そうなのでとりあえず座ってください」
指を机の向かい側へと指すと面倒くさそうな顔をしながら胡坐をかいて座るといつの間にか人がどんどんと増えていて後ろからも声がかかって顔を向ける
「私も皆様の仲に混ぜて下さりませんか?一人というものはあまりにも束の間の間であれ如何せん退屈なものでして…」
→→→ #26に続く