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連載小説 「壬之御門奇譚(おおいのみかど きたん)」 Act.1 #6

更新日/2023.02.21

それから1週間ほど何も連絡がなく普通の日常を、今まで通りの日常を送り夜を数えて朝が必ずやってきてその繰り返しだった。いつも通り何も変わらない毎日相変わらずの日々に嫌気がさしてため息はどんどん増えてきた。通知や結果が届くまで緊張はほぐれずに家に帰っては赤い馬が来るのを待ち続けた。来訪を来る知らせが来るたびにその知らせに応えて応答したが待ち続けた答えが返ってきたことは一回もない。

「結果いつ来るのかな…もう一週間たったのに」

ため息が焦燥に変わりつつあるのを近くにあった抱き枕に顔を埋めて沈めているといきなり唐突に鳴り響くいつもとは違う来訪の音に肩がびくりと震えてベッドから落ちそうになるがシーツを掴んで防いで右足をそのまま滑らせて立ち上がりそのまま階段を来たという感覚のままに駆け降りて少し荒い息のまま扉を感情のままに勢いよく開くとそこには軍服のような黒い服を着たどこか優しそうなオシャレな髭を生やしている男が一人いてかぶっていた帽子を外し胸元に添えてこくりと紳士のように一礼してくる。

「朝霧楓花さん。で宜しいですかな?」

「はい、朝霧楓花本人です」

そういうとこくりと頷いて沢山の手紙や書類が束になってまとめてある黒いトランクの中から一通の封筒と何か入った箱が取り出されて差し出されてお礼を一つ口にして疑心暗鬼と緊張の中で受け取る

「あ、あの…こ、これは一体」

「これはこれは失礼。名乗るのと説明が遅くなってしまったようだ…私は壬之御門要塞都市内の郵便所の所長でね…我々が毎年面接を終えて合否を待つ新入生候補者達に結果を伝えに行く決まりとなっているんだよ。…そうか天はまた伝えていなかったのか…やれやれ本当に申し訳ない…」

「いえ、お気になさらず…そ、それで私の合否はどうなったのでしょうか?」

緊張で声も体も生まれたての小鹿の様に小刻みに震えるものの足をなんとか崩れないように力を入れる。ただできる限りの事はしたのだ落ちたとしても後悔はない。だが出来る事ならば受かっていて欲しいという矛盾が生じて頭がおかしくなりそうになる。それをなんとか煩悩をかき消して平常を保つ。真っすぐな琥珀色の瞳が真剣に己の瞳一点を穿ち名前を呼ばれて更に緊張感が増して心の臓が飛び出そうになるがすぐに穿っていた目の鋭さが柔らかいものへと変わる

 

「おめでとう、合格だ。」

→→→ #7へ続く

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