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連載小説 「壬之御門奇譚(おおいのみかど きたん)」 Act.1 #8

更新日/2023.02.28

「行ってきます」

 

言葉を一つ零すと扉をガチャっと開いて今までの運命と決別するかのように鍵をかけると後ろから拍手がまばらに聞こえてきょとんとした少し腑抜けた表情で音のなる方へと体を向ける

 

「入学おめでとう朝霧ちゃん流石だねー」

そう言いながら懐かしいとも思える変わらないニコッとした笑顔で手をひらひらと降ってくるその姿に笑みがこぼれる

「朱雀さん!!」

名前を呼んで急いで声のした方へと駆け寄る

「お久しぶりです!またお会いできてうれしいです」

「そう言ってもらえると僕もうれしいよ…それと彼女を君に紹介しなければならないね。君の部屋のコンシェルジュ兼相談役の星月雅さん。」

「初めましてお嬢様。星月雅と申します。本日よりお部屋のご案内やお嬢様の相談役を務めさせていただきます。気軽に仲良くして頂けますと幸いですのでよろしくお願いいたします。」

「こちらこそよろしくお願いします雅さん…あ、あの雅さんさんが宜しければお嬢様呼びではなく下の名前で呼ぶか呼び捨てにして頂けませんか?恐らくこれから長い付き合いになると思いますし…」

そう言うと雅は一瞬驚いた顔をして固まりそれを見た朱雀が横で吹き出して口元と腹を抱えながら笑ったが雅が横から蹴りを入れてクリーンヒットして朱雀が謝った所で小さく頷いて微笑んで火のように燃えるような瞳を細めて穿つ

「承知いたしました…確かに堅苦しかったかもしれませんね…改めましてこれからよろしくお願いします楓花さん」

そう言いながら差し出してくる優しい手を花が咲きそうな笑顔で頷いて握り返す。

うんうんと言いながら手をパンッと一度叩く音が響き渡る

「さて、行こうか?」

「はい!!」

勢いよく笑いながらどこか緊張もしながら頷くといい返事だねと言いながら後ろの扉を開いてどうぞ?と初対面の時と同様に吸い込むかの様に誘われて失礼しますと言いながらふかふかの席に座ると扉がゆっくりと閉まって前方の扉が開いて助手席に雅が運転席に朱雀が車をカタリと少し揺らし同時にゆっくりと座る。雅と朱雀が左右違う耳にそれぞれインカムを装着して互いに連絡を取りタップして話が終わるとミラー越しにお待たせとにっこり微笑みが一つ

「それでは参りましょうか…おじょ…いや楓花さん目を瞑っていてくださいね」

「溶けたりその綺麗な目がおじゃんになったら大変だからね~」

「そういった恐怖を与えることはよしてください朱雀蹴り飛ばしますよ」

「おー何時にも増して怖いねぇ…はいはいっとんじゃあ目を瞑ったら声かけて」

「「お願いします」」

「…仲いいね鳥肌が立つくらいには雅もお嬢さんも」

はははと空を切るような笑いを一つ零してでは出発するよと言うと依然感じたどこか懐かしいような感覚に包まれてどこか切なくなるもののどこか心が弾んで嬉しくなって内心これからどうなるかはわからない学校生活に入学式も始まっていないのに舞い踊っている自分がいてそれを早めるかのように着いたよーと聞こえつつ扉のドアが開く。足を伸ばして地へと着く。ふかふかの新緑の草と来訪を喜ぶかの様に咲き誇る花と何時見ても緊張感が走る朱色の門。来たんだ入学をするんだという実感と高揚感が一気にこみ上げてきて目が熱くなるが今まで感じたことがないほどの幸福感に満ちていたが横で参りましょうと優しい声が聞こえて頷いて少し軽くなった足をピアノを弾く様に動かして門の前へと着く

「それじゃあ、これはお嬢さんがやってみようか新入生だし仲間入りも含めてね」

そう言いつつにっこりとしながら水晶盤を出して門の中心にはめてみて?と促されてブレザーのポケットから落とさないようにゆっくりと円形の水晶盤を取り出して門の中心の溝にはめ込む

「はーい、どなたですか?」

「新入生の朝霧楓花です…」

「新入生ちゃん!!ようこそおいでくださいました!お入りください!」

→→→ #9へ続く

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