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連載小説 「壬之御門奇譚(おおいのみかど きたん)」 Act.1 #38

更新日/2023.06.16

「あ、あの鐘は一体…」

「アージェントコール…緊急性がある場合に校長と教頭が同意したときのみに鳴らされる鐘だ…学園で一度も鳴らされたことが無かったと聞いたが…」

「こ、これ相当やばい感じ…?」

ざわざわと声がひしめき合い段々と声量も雰囲気も大きな物へと変化していくがぱんという手が高鳴りした音で一気に静まり返る

「心配や不安は最もだが、今は落ち着け。今君たちがなすべきことは教室に帰り、寮に速やかに事の次第が解明されるまで待つことだ。入学早々にこのようなことがあって怖かったり不安になるのもわかるが冷静さはかけてはならない。難しいことを言ってしまってすまないが安心してほしい。コンシェルジュ達が教室の廊下でそれぞれ待っている。もし心配であれば入学式の時に案内した二年や我々も寮に戻った後一緒に付き添う故に一人ではない」

段々と表情がほっとしたのか明るくなるものや未だに不安な者など様々な反応や空気が漂う中もう一人の人物がこつこつと靴音を鳴らしてやってくる

 

 

「いやー大変なことになってるね…そんな不安な顔しちゃだめだよ?幸せも逃げちゃうしその予感が的中する確率も上がっちゃうからね」

 

「何しに来た朱雀」

「え?稲童丸の…応援?」

「余計なお世話だ」

「はいはい、んじゃ皆教室行くよー美味しい紅茶とクッキー見つけたからさそれで気分紛らわしつつティータイムにしよ」

そう言いながらふらふらと手招きをしながら歩き始めると自然とそれにつられて面白く見えたのか生徒たちも後に続き、それに呆気を取られた稲童丸だったがくすりと微笑んで後ろから見守るように続き窓から見える果てしないほどの慟哭と神が流したであろう涙と怒りを不安そうな表情で遠くの一点を眺めていた

→→→ #39へ続く

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