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連載小説 「壬之御門奇譚(おおいのみかど きたん)」 Act.1 #37
更新日/2023.06.13
緊急を告げるかの如く学院の鐘が何度も鳴り響き、にぎやかになっていたその場ですら凍てついたかのように静まり返り不安を漂わせるように鼓動が早打ちする。額から汗がつぅっと流れて生徒たちがざわざわと騒ぎだす
「なんの…なんの騒ぎですの…」
「「先生方、そして各関係者各位。至急浄土の間へお越しください。繰り返します。至急浄土の間へお越しください。天と冥がお呼びです」」
「まずったな…すまないね…今日はこれにて解散とする。明日の事は君たちの端末で追って連絡する」
「先生…いったい何が…」
「それは私にも分からないが…大丈夫だ君たちが不安に思う必要はない」
「先生、お呼びでしょうか?」
「嗚呼、いきなり呼び出してしまってすまないね稲童丸」
「稲童丸さん!」
「入学式ぶりだな朝霧…一年生を教室にまで送り届ければ良いのですね?」
「嗚呼、頼めるか?コンシェルジュには今しがた連絡して呼ぶ手筈は整った。」
「心得ました。お任せを、緊急の様ですので急いで行ってください」
「嗚呼、皆すまないね、それではまた明日」
いつもと変わらぬ笑顔で告げると花から少し落ちている眼鏡を直すこともなく、光の矢の様に駆け抜けてその背中は見えなくなっていった。
→→→ #38へ続く