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連載小説 「壬之御門奇譚(おおいのみかど きたん)」 Act.1 #4
更新日/2023.02.14
「おはようございます稲童丸さん、背後にいる可愛らしい方はもしや…?」
「おはようございます神楽さん、左様です。朝霧楓花さん新入生候補です」
そう言いつつ稲童丸が体を横にしつつ紹介するように楓花の方へと手を向けると神楽と呼ばれた女性は目を輝かせてまぁまぁと言いつつ待ち焦がれて居たかの様に両手を握りながら駆け寄ってきて楓花の手を握る
「ようこそ、壬之御門要塞都市へ!お会いできて光栄ですわ!私はこちらの神結館の支配人をしております。神楽巴と申します。」
「は、初めまして…?朝霧楓花といいます」
神楽の威力に圧倒されてビクッとしつつ引き気味に一歩後ろに下がって自己紹介をする光景に大きなため息を吐きながら頭を抱えて眉間に深いしわが寄ってその光景を見ていた稲童丸がそこまでにしておけと神楽に言うと我に返ったのか失礼いたしましたと手を前で組んで頭を一瞬でがっと下げた
「申し訳ない…」
「全然気にしていないですし、悪気がないのもわかっていますから神楽さんも頭を上げてください…寧ろ嬉しかったのです。ありがとうございます」
「それならばよかったのです。安心しましたわ…これが癖なものでして…中々治せなくて困っていましたの…稲童丸さん朝霧さんは扇の間にお連れする形で?」
「あぁ、天や冥や方々はお着きか?」
「えぇ、今しがたお着きになられてお待ちですわ」
「うむ、朝霧私はここまでだ。ここから先は神楽が連れて行ってくれる」
「ここまで案内して頂きアドバイスも下さってありがとうございました稲童丸さん」
「当然の事をした迄だ。感謝されることはしていないが嬉しいものだな、また近いうちに会えそうな気がするそれが本当になるのを願っている。では行くといい、神楽頼んだぞ」
「委細承知、承りましたわ。では朝霧さん参りましょう?」
返事を返して一礼を稲童丸にすると誘導するように神楽の手が背中に回されるとそのまま隣に並んで足を前へ前へと歩み進め赤い橋を思わせるような渡り橋を歩き抜けるとその先に神聖な和風の屋敷が一つ。立て看板には扇の間と書かれていて一気に現実に引き戻されて心臓の音が少し早まるものの朝のような緊張はしていなかった
「心の準備と覚悟が決まりましたらお声がけください」
息をすぅーっと吸い込める限り吸い込んで目が飛び出そうになりそうに体中が干からびそうになる程に息を吐き切る。その光景に神楽も呆気に取られて口元を手で覆って絶句するものの一瞬で通常の様子に戻り今まで見せたことがないような真剣そうな顔へと変わる
「お願いします」
→→→ #5へ続く