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連載小説 「壬之御門奇譚(おおいのみかどきたん) (Act. 1)」  ♯3

更新日/2023.02.07

「壬之御門学園高等院2年稲童丸です。面接の方をお連れしました」

「お帰りなさい、お入りください」

声が終わるとぎいぃっと重々しい音が聞こえて門がどんどんゆっくりと開き日光のまばゆい光で中は見えないが賑やかそうな声が轟いて聞こえてきて気持ちがさらに温かく晴れやかなものへと変わってくる。

「では、行くぞ」

「は、はい…」

先導をするようにすたすたと歩みゆくその姿に一歩後ろからついていき、声のする方ではなくすぐに左に曲がると人通りが少ない鳥居が列になっているトンネルのような伏見稲荷大社の様になっている道につき鳥居をくぐってどんどん奥へと進んでいく

「今日君が面接をする扇の間はこの要塞都市の中でも別格扱いで特別面接の様な時にしか使われない。緊張しているか?」

「す、少しだけ…練習をしなくていいと学校長が言ってくださったものの本当に練習がいらないものなのかと不安になったり、面接官の先生方は怖くないかなと」

「無理もないさ…普通の学校ならば面接ともなれば練習も対策も必須だろう。言葉遣いも考えも無理にまとめて簡略化しあの少ない時間で集団面接ともなればさらに短縮して尚且つわかりやすく伝えないといけないからな。この学校は日本の中でも変わっている正直異端扱いされていてもおかしくないだろう。普通の学校とは違うからな。面接の練習はいらない、学校長も言ったと思うが大切なのはその物の個性と素直な感情だ。故に思っていることを伝えること遠慮はいらない。遠慮をして取り繕って良いことを言うほどこの世界では省かれ除名される。大切なのは一人一人の感情だからな。面接官に関しては皆優しいしフレンドリーでアットホームな空間だと思うぞ。故に肩の力を抜いて挑むといい。と話していたらついてしまったな」

そう言って稲童丸が立ち止まり見上げるとそこには季節外れのはずなのに桜が舞っていて春のように暖かく立派な白亜の和式の建物が建っていた。稲童丸が扉をノックすると中からメイドのような使用人の様な姿の優しい雰囲気の女性が出てきて互いに頭を下げた

 

→→→ #4に続く

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